賃貸借物件(貸事務所、貸店舗、賃貸マンション、アパートなど)のトラブル、明け渡し請求、立ち退き料
弁護士による建物賃貸借契約の相談 賃貸借契約終了の正当事由と立ち退き料
内藤寿彦法律事務所
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弁護士内藤寿彦
 (東京弁護士会所属)
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2012/08/01
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2016/10/20
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建物賃貸借契約についての相談
契約終了の正当事由と立ち退き料
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基礎知識~契約終了・正当事由・立ち退き料の概要

【建物賃貸借は継続が原則】
【契約終了のための通知】
【正当事由とは何か】
【立ち退き料】

※ここでは、賃借人に落ち度がない場合についてお話します。賃料不払いなどの契約違反がある場合は「その1(家賃滞納の法律相談)」「特約違反などの契約解除」をご覧ください。
※定期建物賃貸借契約(定期借家契約)の場合は期間満了で契約が終了するのが原則です。これについては「定期借家契約」をご覧ください。


【建物賃貸借は継続が原則】
●期間満了しても契約は続きます

 建物の賃貸借契約は、2年程度を期間として契約することが多いと思います。
 しかし、期間が満了したということで賃貸人が賃借人に立ち退いてもらおう思っても、そうはいかないのが原則です。
 契約書に書いてある2年の期間が満了する場合、通常は事前に「更新」の合意をして更新料を受領して、また2年程度の契約をします(*)。しかし、賃貸人側で、もう更新しないで立ち退きをしてもらいたいと思っても、賃借人がこれを拒否すると、期間満了後も契約が続くのが原則です(「正当事由」があれば別です。後で説明します)。

(*)更新料については「建物賃貸借の各種相談」の「更新料」をご覧ください。

●法定更新
 更新の合意をしないまま期間が過ぎた場合でも、契約は続きます。これを「法定更新」と言います。法定更新の場合には「期間の定めがない」ことになります(*)
 期間の定めがない賃貸借契約の場合、賃貸人は、いつでも解約の申入をすることができます。そして、それから6か月が経過すると契約は終了しますが、解約申入に「正当事由がない」場合には、契約は終了しません。そのまま契約は続きます。

 なお、ここでの説明は、あくまでも当事者間の話し合いで解決がつかない場合を前提とします。「大家が出て行ってほしいと言っているんだから立ち退きます」という人もいるでしょうし、数か月の猶予期間で立ち退きますという人もいるでしょう。

(*) 契約書によっては「満了前に双方から異議がないときは自動的に前と同じ内容で更新する」と書いてある場合があります(自動更新条項などと言われています)。この場合に、双方から異議がないまま期間が満了すると、その後は前の契約と同じ期間の定めのある契約になります(つまり、法定更新ではありません)。ただし、この内容の契約でも、賃貸人が異議を述べると、期間満了後は「法定更新」して期間の定めのない契約になります。
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【契約終了のための通知】
 建物の賃貸借契約を終了させるためには、正当事由が必要です。しかし、正当事由があれば自動的に契約が終了するわけではありません。正当事由があっても、法律上の手続をとらないと、契約を終了させることはできません。

 期間の定めのある契約(例えば、2年の契約期間のある契約)の場合には、契約期間満了の1年前から6か月前までに「更新をしない」(更新拒絶)という通知を出さなければなりません。これをしないと「正当事由」があっても法定更新してしまいます。(*1)(*2)(*3)
 また、この通知を出しても、期間満了後も賃借人が建物の使用を続けている場合、そのまま放置すると法定更新したことになります。契約終了後、立ち退きをするように通知するなどの必要があります(本気で立ち退きをしてもらいたいのなら裁判などの必要もあります。弁護士に相談した方がいいでしょう)。

 また、最初から期間を決めないで契約した場合(あまりないと思います)や、法定更新をした場合などは、いつでも解約申入の通知をすることができますが、この場合にも「正当事由」が必要です。「正当事由」があれば、通知から6か月後に契約は終了します。この場合も、終了後に賃借人が建物の使用を続けている場合に放置すると、解約はなかったことになります。

 なお、期間の定めのある場合でも、契約書に「賃貸人は期間内でも解約申入をすることができ、解約申入から6か月を経過すると契約は終了する」という特約がある場合があります。
 このような期間内の解約の特約(解約権留保特約)は有効性が問題になります。古い裁判例で有効とするものと無効とするものとがあり、学説も分かれています(有効だとしても、「正当事由」が必要です)。賃貸人がこの特約に基づいて期間内の解約通知をした場合でも、交渉や裁判で和解が成立すれば、何の問題もなかったことになります。また、裁判中の場合は解約の意思が継続しているとみなされるので、そのまま期間が満了した場合は、特約が無効だしても契約終了になります。

(*1)期間満了前の6か月を過ぎたらどうにもならなのか、というとそうではありません。契約終了の6か月前を過ぎた後でも、解約申入の通知を出せばいいのです。極端なことを言うと、期間満了の前の6か月を1日過ぎた日に解約申入の通知を出すと(正当事由がある場合ですが)、期間満了後に法定更新しますが、その翌日に解約申入の効力で契約は終了することになります。法定更新した後でないと解約申入ができないということではありません。

(*2)1年以上前に「次回の期間満了時には、立ち退いてほしい」と言うことは、何の問題もありません。更新が繰り返されて、何十年にもなるようなテナントに、建物老朽化を理由に立ち退きを求める場合、早めに事情を説明して対応を考えもらう、というのは普通の話です。ただし、これは正式な更新拒絶の通知ではありません。1年以上前から立ち退きの話をしていた場合でも、期間満了の1年前から6か月前までに正式な、更新拒絶の通知をしなければなりません(話会いが継続していたということは、更新拒絶の意思を継続して通知していたことになりますが、念のため、期間内に正式な通知を出しておいた方がいいのです)。

(*3)期間満了が迫っているけれども、正式な契約終了の通知を出す時期を遅らせたい場合があります。例えば、大きなテナントとの立ち退き交渉の結果次第で、他のテナントとの立ち退き交渉を始めたいというような場合です。この場合、期間満了時には、合意更新しないで法定更新し、その後、時期を見て、解約の通知をするという方法が考えられます。法定更新した場合は期間の定めがなくなるため、いつでも、解約の申入ができ、解約申入に正当事由があれば6か月で契約を終了することができます。ただし、自動更新条項がある場合には、放置すると同じ期間の契約更新になるので、注意が必要です。
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【正当事由とは何か】
 正当事由とは、賃貸人側から賃貸借契約を終わらせようとする場合に要求されるものです。
 無論、賃借人に、賃料不払いなどの契約違反があれば、契約を解除できます。ここで言う「正当事由」というのは、賃借人に契約違反がないけれども、契約を終了させても仕方がないという理由です。

 更新拒絶や解約申入をする賃貸人側に、賃貸借契約を終了させる正当な理由がある、という意味です。理由があるから更新拒絶や解約申入をするのですから、理由があるのは当然ですが、「正当な」理由が必要なのです。
 その一番の理由は、賃貸人が貸している建物を自分で使う必要がある、という場合です。他に住むところがなくてどうしても貸している建物に住まなければならない場合や、商売の都合でどうしても貸している建物を使いたい、というような場合です。
 その他、貸している建物が老朽化して危険なので建て替えをしなければならない、とか、木造アパートを周辺の状況に合わせて賃貸マンションにしたいというような場合が考えられます。(*)

 しかし、「正当事由」は、このような賃貸人側の一方的事情だけで決まるものではありません。賃借人にとって借りている物件は、通常、生活の拠点だったり、営業の拠点だったりします。賃借人には、通常、その場所を借りていなければならない都合があります。

 例えれば、天秤ばかりの左右の受け皿に、分銅(重り)のように賃貸人側の都合と賃借人側の都合をそれぞれ載せて、どちらに傾くかということです。賃貸人側に傾けば、「正当事由」があるということになります。
 ただし、どちらかと言えば賃借人側の都合の方が重視されます。

(*)賃借人に立ち退いてもらって、建物を取り毀し更地にして売却したい(賃借人がいるままでは高値で売却できない)という理由だけでは、正当事由は認められません。賃貸人の生活などに必要な資金を得るためにどうしても更地にして売却するしかないという場合で、それが賃借人の事情よりも、同情できる場合には正当事由が認められます。ただし、その場合でも、立ち退き料として、賃借人の経済的損失を補償する必要があります。
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【立ち退き料】
 賃貸人の都合の方が弱い、あるいは賃借人と同じ程度という場合、賃貸人から賃借人に立ち退き料を支払うことを条件として、「正当事由」が認められることがあります。

 立ち退き料とは、法律上は、賃貸人側の「正当事由」を「補うもの」です。
 「補うもの」ですから、単に、立ち退き料を払うから出て行ってくれと言っても、裁判所は認めてくれません(話し合い解決の場合は別ですが)。 
 天秤ばかりの例で言えば、賃貸人側にもそれなりの事情があるのだけれども、まだ、はかりが賃借人側に傾いている場合に、賃貸人側の受け皿に「立ち退き料」という分銅を載せて、はかりを賃貸人側にかたむかせる、という感じです。

 立ち退き料の金額は、個々のケースごとに双方の様々な事情を考慮して決められます。

 詳しくは、「立ち退き料の相場・金額」「立ち退き料に影響する事情」をご覧下さい。

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弁護士 内藤 寿彦  東京弁護士会所属

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