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内藤寿彦法律事務所
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弁護士内藤寿彦
 (東京弁護士会所属)
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2012/08/01
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2016/10/20
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相続の法律の基礎知識(相続分、遺言、遺産分割、債務)

※お探しの記事が見つからない場合や、より詳しく知りたい方は「相続の弁護士の相談例」「相続コラム~相続にまつわる色々な話」「遺言コラム~遺言書にまつわる色々な話」をご覧ください。
相続人の範囲と法定相続分
法定相続分とは
A(男)が亡くなった。妻と子がいる。
A(男)が亡くなった。妻はいる。子はすでに亡くなっているが孫がいる。
A(男)が亡くなった。妻がいるが、子がいない。
妻も子もいないが、親がいる。
妻も子も親もいないが、兄弟姉妹がいる。
 ~異母兄弟姉妹の場合は?
従兄弟は相続人にならないの?
 ~相続人の不存在と特別縁故者
養子の場合は?
代襲相続人(孫)の地位

遺言書と遺留分
遺言書が必要な場合とは   
自筆遺言と公正証書遺言   
自筆遺言の検認手続
遺留分
兄弟姉妹には遺留分はありません

遺産分割協議
●遺産分割協議の方法
●遺産分割協議書と印鑑証明書
●とりあえず合意が成立した遺産について遺産分割協議書を作る場合

債務の相続
法定相続分で債務を相続
分割協議や遺言で変更しても債権者しだい
遺産がなければ相続放棄
3か月後に請求が来たら
限定承認
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【相続人の範囲と法定相続分】
法定相続分とは
 相続人が1人しかいない場合には、その人が全部の遺産を相続するので問題はありません。しかし、複数の人が相続人になる場合は、誰がどれだけ取れるのか法律で決まっていないと、話し合いにもなりません。
 相続分とは、遺産全体の取り分(割合)のことです。法定相続分とは、法律で決まった取り分のことです。法律で決まっているからと言って、変えられないものではありません。遺言書や相続人全員の合意で変更することができます。ただし、通常は、遺言がない場合には、法定相続分を前提にして、遺産分割協議をして、具体的に相続する財産を決めることになります。
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●A(男)が亡くなった。妻と子がいる。
 妻と子が相続人になります。妻の法定相続分は1/2。子は人数に関係なく、全部で1/2。子が1人なら1/2ですが、子が2人なら1人あたりは1/4です。
 なお、父親が同じでも、母親が違う子がいる場合(例えば、離婚した先妻の子と亡くなった当時の妻(後妻)の子がいる場合)でも、子の相続分は同じです。

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●A(男)が亡くなった。妻はいる。子はすでに亡くなっているが孫がいる。
 この場合、孫が子の代わりに相続人になります(これを代襲相続=だいしゅうそうぞくといいます)。亡くなった子の相続分が孫(その子の子)全員の取り分になります。
 例えば、子が2人(BとC)いて、CがAよりも先に亡くなっていて、Cに2人の子(Aの孫)がいる場合、妻は1/2、Bは1/4、Cの子(孫)は1/8ずつ(合わせて1/4)になります。
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●A(男)が亡くなった。妻がいるが、子がいない。
 この場合、妻が全部取れそうですが、違います
 Aの親がいれば、妻の相続分は3分の2、親の相続分は3分の1になります。
 Aの親がすでに亡くなっている場合でも、Aに兄弟姉妹がいると、妻の相続分は4分の3、兄弟姉妹は全員で4分の1になります。
 また、兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合でも、兄弟姉妹に子(Aから見ると甥姪)がいると、先ほどの孫の場合と同様に甥姪が兄弟姉妹に代わって相続人になります。ただし、甥姪の子が相続人になることはありません。甥姪までです(子、孫の場合は、子、孫が亡くなっていてもひ孫がいれば相続人になります)。
 ところで、妻にしてみれば、自分が全部相続できると思っていたのに、夫の兄弟姉妹が相続人になることは納得できない、ということもあるかも知れません。その場合、夫が遺言書を作り、妻に全部の財産を相続させる、と書いてあれば、妻が全部相続することになります。兄弟姉妹には遺留分がないので、兄弟姉妹から遺留分減殺の請求を受けることはありません
 無論、兄弟姉妹が相続を放棄したり、遺産分割協議で自分はいらない、ということで、妻が全部相続するということもあり得ます。ただし、これは兄弟姉妹の意思によります。
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●妻も子もいないが、親がいる。
 この場合は、親が相続人になります。親がいないが祖父母がいれば、祖父母が相続人になります。
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●妻も子も親もいないが、兄弟姉妹がいる。
 この場合は、兄弟姉妹には人数に応じた相続分があります。
 ただし、兄弟姉妹だけれども、両親が一緒ではない、というケースがあります(異母兄弟、異母姉妹、異父兄弟、異父姉妹です)。
 例えば、父親は同じですが、離婚した先妻との間にも子がいて、再婚した後妻との間にも子がいるとします。そして、Aが先妻との間の子だった場合で、Aと母親が同じ兄弟姉妹がいる他、Aとは母が違う兄弟姉妹(要するに後妻の子)がいるとします。Aの父も母(先妻)もすでに亡くなった後に、Aが亡くなったとします。そのAに妻も子もなければ、兄弟姉妹だけが相続人になります。この場合、Aと母が違う兄弟姉妹も相続人になりますが、Aと母が同じ兄弟姉妹の1/2の相続分になります
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●従兄弟は相続人にならないの?
 妻、子もなく、兄弟姉妹もなく、両親もすでに亡くなっている場合でも、仲のよい従兄弟と親戚づきあいなどしていたりします。
 しかし、従兄弟は相続人にはなれません。遺言で従兄弟に財産を譲ると書いてなければ、原則として遺産は国のものになってしまいます。

 なお、相続人がいない場合でも、亡くなられた方と特別な縁故があった人に対して、財産の分与が認められることがあります(申立によって相続財産管理人が選任された上で、次に、財産を分与してほしいという申立をして、家庭裁判所が判断します)。内縁の妻などは特別縁故者として財産の分与が認められる傾向があります。

 しかし、従兄弟の場合、通常と同じような親戚づきあいをしていたというだけでは特別縁故者とは認められません。通常の親戚関係を越えた特別な事情が必要になります。このため、かなり親しい関係にあって、兄弟のように付き合っていたとしても、従兄弟が特別縁故者と認められることは難しく、認められたとしても財産の一部しか分与が認められない(その他は国のものになる)傾向があります。
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●養子の場合は?
 養子は、原則として実子と変わりません。
 ただし、養子には、独特の問題があります。一番の違いは代襲相続です。養子縁組をした後で、養子に子(養親のとって孫)が生まれ、その後、養親よりも先に養子が亡くなり、その後、養親が亡くなって相続になった場合は、養子の子は、代襲相続人になります。養子縁組をした後に、その養子とさらに養子縁組した子も、代襲相続人になれます。
 ところが、養子縁組前に養子に子がいた場合、養子縁組前の養子の子は、代襲相続人になれません(その子が養親と養子縁組すれば、代襲相続人にはなりませんが、養子として相続できます)。

  なお、養子は、養親が亡くなった時に相続人になりますが、実親が亡くなった場合にも、相続人になります
 また、Aが、実の子Bの子C(Aの孫)を養子にした場合に、Aよりも先にBが亡くなり、その後にAが亡くなった場合、Cは養子として相続人になるとともに、Bの代襲相続人にもなります。Aに妻がいなくて、子がBとC(養子)、そして、Bの弟のDだった場合、Bが先に亡くなり、Aが亡くなって相続が発生すると、C(養子・代襲相続人)の法定相続分は2/3、Dの法定相続分は1/3になります。
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代襲相続人(孫)の地位
・親が亡くなった場合だけではありません
 A(被相続人)、B(Aの子)、C(Bの子でAの孫)という場合でお話します。問題になるのはAの遺産の相続です。
 Aが亡くなる前にBが亡くなった場合、CはBに代わってAの遺産を相続できます。これが代襲相続です。
 ところで、Bが亡くなってはいないけれども、BがAの相続人になれない場合があります。この場合でも、Cが代襲相続する場合があります。
 その1つは、Bが「相続欠格」の場合です。相続欠格というのは、BがAを殺した場合、BがAを脅したり、騙して遺言を書かせた場合、BがAの遺言書を偽造したり隠したり破棄した場合などです。この場合は、Bは法律上、当然に相続人でなくなります(ただし、本人が認めなければ、結局、裁判所が判断することになります)。
 親を殺害するというは、なかなか凄い話ですが、この場合でも、孫のCは代襲相続人として、Aの遺産を相続することができます。
 もう1つが、廃除です。これは、BがAを虐待したり、重大な侮辱をしたということで、Aが生前にBを相続人から外すように請求したり、Aが遺言書にBを廃除してほしいと書いてあった場合に、家庭裁判所の判断で、Bを廃除して相続人でないことにすることです。
 これによって、Bは相続人でなくなるのですが、Cは代襲相続人として相続人になれます。
 Bの素行が悪く、他の子(Bの兄弟)などが働きかけて、AにBを廃除するという遺言を書いてもらうケースもありますが、家庭裁判所が廃除を認めても、CがBの代わりに遺産を相続することになります。BとCが同居している場合などは、Bを廃除してもあまり意味がない、ということがあります。
・Bが相続の放棄をすると代襲相続はありません
 Bが相続人でなくなるケースとして、Bが相続の放棄をする場合があります。この場合は、上のケースと違って、Cは代襲相続人にはなりません。
 Aに借金しかない場合には、Bは相続の放棄をしますが、Cも一緒に相続放棄をする必要はありません。
・CがBの相続のときに相続放棄をしてもAの代襲相続人になれます
 Aよりも先にBが亡くなれば、Bの関係で相続が発生します。CはBの子ですから相続人です。この場合、Bに借金しかない場合、Cは相続の放棄をします。
 その後でAが亡くなった場合ですが、Cは代襲相続人になれます。そして、BがAから相続するはずだった遺産を相続することができます。代襲相続の要件は「Bの子」だからです(「Bの相続人」という要件ではありません)。
 Bの債権者は、BがAよりも先に亡くならなければ、Bが相続したAの遺産に対して、差押えなどができたのですが、この場合には何もできません。
・遺言の代襲相続はありません
 Aが遺言書に「・・・の不動産をBに相続させる」と書いた後で、BがAよりも先に亡くなった場合には、この遺言は無効です(「Bに相続させる」という部分だけが無効になります)。CがBに代わって相続することにはなりません(最高裁平成23.2.22判決)。
 ただし、Aが遺言を書いた時に、「もしも、Bが自分よりも先に亡くなった場合には、孫のCにこの財産を相続させたい」と思っていたことが認められる場合には、Cがその財産を相続できるとされています。しかし、これが認められた例はほとんどありません(ないわけではありません)。
 AがCに遺産を譲りたければ、Bが亡くなった時点で遺言を書き直すべきです。ただし、Bが亡くなった時には、Aが病気や精神状態の関係で遺言の書き直しができない場合もあります。最初に遺言を作る時に、まだBが元気だったとしても、遺言に「もしも、自分よりも先にBが亡くなったら、Bに相続させる財産はCに相続させる」という遺言を作るべきです(*)

(*)Bが病気などでAよりも先に亡くなるかも知れないと思えば、「もしもしBが先に亡くなった場合」という遺言を作りますが、そうでない場合には、気が引けます。しかし、万一、ということを考えて遺言は作るべきでしょう。なお、平成23年の最高裁判決が出た後は、公証役場では、「もしも先にBが亡くなった場合どうするか遺言に書きますか」という注意をする扱いになっています。
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【遺言書と遺留分】
●遺言書が必要な場合とは
 
遺言が必要なのは、①相続人以外の人に財産を譲る場合や、②複数の相続人の1人に特定の財産を譲ったり、法定相続分とは違う割合で相続させたい場合です。

相続人以外の人に財産を譲りたい場合というのは、
①相続人がいるけれども相続人でない人に遺産を譲る場合(妻子がいるけど、世話になった自分の弟に遺産を譲る場合、兄弟姉妹がいるけれども、内縁の妻に遺産を譲る場合など)、
②相続人がいないので相続人でない人に遺産を譲る場合(内縁の妻に遺産を譲る場合(*)や従兄弟に遺産を譲る場合、第三者に遺産を譲る場合)
があります。

特定の相続人だけに財産を譲りたい場合や、法定相続分と違った割合で財産を相続させたい場合にも遺言書を書く必要があります。
 相続分というのはあくまでも、遺産全体に対する割合です。遺言書がない場合は、複数の財産のうち、どの財産をだれが相続するのかは、全員で協議して決めなければなりません(これが遺産分割協議です)。
 亡くなった後で、面倒なことをさせるのは嫌だと思えば、遺言書で、この財産は誰それに相続させる、この財産は誰それに相続させるというように、指定することができます。

  なお、遺言で、特定の遺産を特定の相続人に譲る場合、法定相続分に従う必要はありません。法定相続分とは違う割合で、特定の財産を特定の相続人に相続させることもできます(特定の財産ではなく、相続する割合を遺言書で指定することも可能です)。

 特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」と遺言書に書いてある場合には、相続の発生(遺言を書いた人が亡くなる)と同時に何の手続もすることなく、その遺産は遺言書で指定された相続人の所有物になります(登記名義を変える場合も遺言書だけで手続が可能です。遺言執行者や他の相続人の協力は必要ありません。これに対し、相続人以外の人に特定の遺言を譲る場合には、遺言書だけでは登記の名義の変更ができません)。

  なお、他の相続人に 遺留分がある場合(兄弟姉妹には遺留分はありません)には、遺留分侵害の問題が起きる可能性がありますが、遺留分を侵害しても遺言としては有効なので、遺言をした人が亡くなると遺産の所有権は遺言で指定された人に一旦は移転します。


(*)相続人がいる場合には遺言を書かないと、内縁の妻は遺産の相続ができません。しかし、誰も相続人がいない場合には、内縁の妻は、特別縁故者として相続財産が分与される場合があります(「●内縁の夫が亡くなりました。彼には子も配偶者も親も兄弟姉妹もいない。財産はどうなるのでしょうか」 をご覧ください)。従兄弟も同様ですが、従兄弟の場合には特別縁故者と認められるのは難しいです(「従兄弟は相続人になれないの」をご覧ください)。
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自筆遺言と公正証書遺言

 遺言は、大まかに言えば、遺言をする人が手書きで書いた自筆遺言(自筆証書遺言ともいいます)と、公証人が遺言する人から聞き取って、公正証書を作る公正証書遺言(遺言公正証書ともいいます)があります。

 自筆遺言は、本文(文章)、日付け、署名の全てを本人が書く必要があり(本文をワープロで打って署名しただけでは無効です)、判子を押す必要があります(*)。しかし、2枚以上になっても割印(契印)はいりません。封筒に入れて封をしておかなければならない、ということもありません。ただし、訂正する場合には、訂正したことを書いた上で署名押印して、変更した部分に判子を押す必要があります。訂正の方法が間違っていると、訂正しなかったことになります。

 これだけでも面倒ですが、一番面倒なのは亡くなった後に、家庭裁判所の検認という手続が必要になることです。ただし、公証人が明日、公正証書遺言を作るために自宅に来ることになっていたのに、亡くなってしまったという例もありますから、公正証書遺言を作る前に念のため自筆遺言を作っておくことも考えた方がいいです。

 公正証書遺言は、通常、事前に本人や本人の代理の人(弁護士や遺産を沢山もらえることになっている人)が公証役場で公証人に遺言の内容を説明します。公証人は、それに基づいて原稿を作り、本人(遺言をする人)と証人2名の前で、改めて本人から遺言の内容を聞き取り、公正証書遺言を作成します。証人は、未成年や相続人になることが予想される人はなれません。心当たりがなければ、若干の費用は必要ですが、公証人が紹介してくれます

(*) 自筆遺言に必要な判子は、実印(印鑑登録されている印鑑)の必要はありません。印鑑登録されいない判子、三文判でもかまいません。指印(拇印など)でもかまいせん(指印でも有効なことは最高裁元年 2月16日)。自分の名前と違う判子でもかまいせん。ただし、あくまでも、遺言者本人が自分が遺言を書いた証しとして押したことが必要です。亡くなった後で、遺言が偽造されたものかどうか争われた場合、実印や、本人が普段から使用している印鑑でないと、本人が押したことを証明するのが難しくなることが考えられます。
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自筆遺言の検認手続
 遺言した人が亡くなった後、自筆遺言を見つけたら、家庭裁判所の検認の手続が必要です。遺言者(亡くなられた方)が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本(亡くなった時の年齢にもよりますが、数通になるのが通常です)などを添えて、家庭裁判所に検認の申立をしなければなりません。
 期日が指定されると、法定相続人全員に通知されます。出席するかどうかは自由ですが、申立人は出席しなければなりません。
 手続は、裁判官が封筒にはさみを入れて、開封するところから始まります。中から遺言書を取りだして、確認をします。ただし、内容の有効無効の判断しません。中に遺言書があることの確認です(封筒に入れることは遺言の要件ではありません。封筒に入っていない場合は開封の手続はしません)。

  そして、出席している相続人に対して、遺言書の署名や判子の確認を求めます。
「本人のものに間違いありません」「分かりません」「本人のものではありません」など、色々な答えがありますが、それらの答えを裁判所書記官は調書(検認調書といいます)に記載します。
  これで手続は終了です。検認手続の中で裁判所が遺言の有効・無効の判断をしてくれるわけではありません(必要があれば、別に裁判を起こして決着をつけることになります)。この後、裁判所は遺言書の原本に「検認済み証明書」という1枚の書面を付けて申立人に返してくれます(証明書を付けてもらうためには申請が必要ですが、申立の時に同時にします)。

 この手続をしないと、遺言書に基づいて、不動産の登記をしたり、預金を払い戻すことができません。逆に言うと、自筆の遺言書と家庭裁判所の「検認済み証明書」があれば、不動産の登記や預金の払い戻しができます(特殊な問題があって、できない場合もあります。それについては「遺言コラム」の「遺言があるのに裁判をしなければならない」をご覧ください)。また、遺言書を見つけたのに検認の申立をしないで隠してしまうと、相続の権利がなくなる場合もあります。
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遺留分
 遺言書で何でも自由に処分できるかと言えば、そうでないのが遺留分の制度です。妻と子は、法定相続分の1/2の遺留分があります。例えば、妻の場合は、遺産全体の1/4の権利があり(法定相続分1/2×遺留分割合1/2)、これが遺言で侵害された場合、侵害された分を取り戻す権利があります。
 遺留分は、行使するかしないかは本人の自由です。逆に言えば、行使しなければ権利は実現されません。相続分と違って、当然に相続財産の中に、遺留分相当の権利がある、ということではありません。

 例えば、Aが、「妻や子以外の第三者に財産の全部を譲る」という遺言を書いて亡くなった場合、妻と子は、第三者に対して、侵害された遺留分を戻すよう請求できます(遺留分減殺請求といいます)。この権利の行使をすると、第三者が譲り受けた財産は、侵害された遺留分の割合に応じて、妻や子のものになります(第三者と妻・子との共有状態になります)。共有のままでは何かと面倒ですが、その後で共有物の分割の手続などをすることになります。

 遺留分の行使ができるのは、遺留分を侵害する遺言(例えば、第三者に全部譲るという内容の遺言)を知った時から1年です。この1年以内に、遺留分の権利を行使するという内容の通知を、相手方に送らなければなりません。通知を送れば、裁判(遺留分減殺請求をしたことを前提とする調停や共有物の分割の裁判など)を起こすのは1年を経過した後でもかまいません。

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兄弟姉妹には遺留分はありません
 親が相続人になる場合、親にも遺留分があります。
 しかし、兄弟姉妹には、遺留分はありません(遺留分のことを知っていても、この点は誤解している人がいるので注意しましょう)。
 例えば、亡くなった人の兄妹が相続人になる場合、親しくしていた妹には財産を相続させたいけれども、仲の悪かった兄には財産を相続させたくない、という場合には、「妹に全財産を相続させる」という内容の遺言書を作ればいいのです。相続が発生した場合でも、兄は妹に対して遺留分の主張はできません。

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遺産分割協議
●遺産分割協議の方法
 ~みんなで一同に集まらなければならないわけではありません
 
遺言書がない場合は、相続人全員で、遺産分割協議をして、遺産を分けることになります(遺産分割をしなければならないわけではありませんが、後になって面倒なことになります。→「不動産がずっと昔に亡くなったおじいさんの名義のままになっていませんか」)。
 遺産分割協議というと、相続人が一同に集まって相続する財産について話し合いをするというイメージがあります。
 しかし、相続人が同じ場所に集まって合意をする必要はありません。持ち回りのような形でもいいし、例えば5人の相続人がいる場合に、3人で予め話をつけた後で、他の2人がこれに同意するような形でもいいのです。

 要するに、相続人全員が合意すればいいのです(集まるか、集まらないかの合意という意味ではありません。遺産分割の内容について、全員の合意が必要という意味です。一人でも反対すれば、遺産分割協議は成立しません)。
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●遺産分割協議書と印鑑証明書
 通常は遺産分割協議書を作ります。遺産が不動産の場合、遺産分割協議で決まった内容で登記をする必要がありますが、そのためには、遺産分割協議書を作る必要があります。それ以外の場合には、作らなくてもいいのですが、後になって(極端な場合は、分割協議をした相続人が亡くなった後で)問題になる場合がありますから、作った方がいいです(形式は自由です。ただし、銀行預金を下ろす場合などはそれぞれの銀行の指定する様式があります)。

 不動産の登記をする場合には、1通の遺産分割協議書に、全員が署名して、実印を押し、その印鑑証明書を添付しないと、法務局で受け付けてくれません。
 通常、不動産の登記(売買による所有権移転登記など)の場合、申請書に添付する印鑑証明は申請の3か月前までに発行されたものが必要になります。しかし、遺産分割協議書の場合、この制限がありません。(*)
 このため、予め合意をしてくれそうな人から先に署名押印と印鑑証明書をもらい、その後、時間をかけて話し合いをする必要があると人と話合いをした上で、署名押印と印鑑証明書をもらって遺産分割協議書を完成させることができます。

 ただし、遺産分割協議は、あくまでも全員が合意した時に成立します。そのため、例えば、亡くなられた方の子A、B、Cの3名が相続人の場合、先にAとBが合意したからと言って、Cが合意する前にBが「やっぱり合意しない」と言い出すと、AとBの間でした合意は効果がなくなります(3人で調停になった場合、Aが「Bは以前に合意した」と言っても、Bが「気が変わった」と言えば、それまでです)。
 このため、最初の段階でBが財産はいらない、と言っているような場合には、相続の放棄をしてもらうとか(その場合、Bの権利はAとCの2人に行くことになります)、相続分の譲渡をしてもらう(この場合はBの権利は例えばAだけに譲渡されます。「相続分の譲渡」をご覧ください)ことを検討する必要がある場合もあります。相続の放棄や相続分の譲渡の場合は、それだけで効力が発生するため、Bがあとで撤回することはできなくなります。

(*)遺産分割協議が成立しなくても、相続人の1人が申請すれば、亡くなられた方の名義から、相続人全員が法定相続分で共有しているという内容の登記をすることができます。この後で、遺産分割協議をして、その不動産を相続人の1人のものにすることができます。ただし、この場合、名義変更をするためには、遺産分割協議書を法務局に提出するだけではできません。また、印鑑証明書も申請の3か月前のものでなければなりません。このように面倒なことになるので、特別に必要な場合以外は、遺産分割協議が済むまで、亡くなられた方の名義のままにしておいた方がいいのです
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●とりあえず合意が成立した遺産について協議書を作る場合
 遺産分割協議書は、1通に全部まとめなければならない、ということはありません。財産ごとに複数作成することも可能です。 

 複数の遺産がある場合、とりあえず合意が成立した遺産についてだけ分割協議書を作ることも可能です。例えば、3人の相続人A、B、Cがいて、ある遺産についてAが相続することが決まったけれども、他の遺産についてはなかなか決まらないという場合、とりあえず、決まった分について分割協議書を作ることが可能です。

  ただし、この場合、注意しなければならないのは、残りの遺産についてのAの取り分をどうするのか、ということです。Aが「他の遺産はいらない」、という場合は、残りの遺産については、Aを除く2人で話し合って決めることになりますが、その場合も、遺産分割協議書にはAの署名押印が必要になります。このため、BとCとしては、Aが「もう遺産はいらない」と言っていると思い込んで、最初にAが取得する遺産について分割協議書に署名押印したのに、後になったAが、他にも遺産がほしかったと言い出して、その遺産の分割協議書を作ることができない場合もあり得ます。
 このようなトラブルを防ぐためには、最初の遺産分割協議(Aだけが取得する財産について遺産分割協議)の時に、Aが他の相続財産を取得しないことを合意するかどうか、取得するとした場合にはその割合をどうするのか、書面にしておく必要があります。
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【債務の相続】
法定相続分で債務を相続
 亡くなられた方の債務も相続の対象になります。
 債務と言っても色々な債務がありますが、典型的な例として借金などの金銭支払い債務について、お話をします。

 このような債務は、遺言がなければ、共同相続人の間で法定相続分で自動的に分割されて相続したことになります。
 例えば、債務額が900万円で、相続人が3人の子だけだった場合(この3人をA、B、Cとします)、法定相続分はそれぞれ1/3ですから、A、B、Cは、1人あたり300万円ずつ債務を負担することになります。連帯保証とは違いますから、例えば、A、B、Cの中に支払い能力のない者がいたとしても、他の者がその肩代わりをする必要はありません。
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分割協議や遺言で債務者を変更しても債権者しだい
 遺言や遺産分割協議で、共同相続人の中で負担する債務額を変更することができます。前の例で言うと、A、B、C3人の子が共同相続人の場合に、借金900万円をAだけが負担する(支払う)とすることは可能です。

 ただし、遺言や遺産分割でこのように決めても、債権者は無視できます。債権者は、本来の法定相続分のとおり、BやCにそれぞれ300万円ずつ請求することができます。また、遺言や遺産分割協議の取り決めのとおりにAにだけ900万円を請求することもできます。どちらを選ぶのかは債権者しだいです。

 では、遺言や遺産分割は意味がないのかと言うとそうではありません。Aが900万円全部を支払うことになっていたのに、BやCが債権者から300万円を支払わされた場合には、BやCは、Aに対して、自分が債権者に支払った300万円を請求することができます。
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遺産がなければ相続放棄
・3か月以内に相続放棄

 債務があってもそれを上回る遺産があれば、問題ありませんが、それがなければ借金だけ負担することになります。
 それを避けたいと思えば、相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の届出(申述といいます)をしなければなりません。
 相続放棄をすると、最初から相続人でなかったことになります。遺産の相続ができなくなりますが、債務の相続もしません。

他の相続人や親戚が債務を負う場合があります
 相続放棄をすると、他の相続人や親戚に迷惑がかかる場合があります。

 例えば、相続債務が900万円の場合、A、B、C3名のうち、Cが相続の放棄をすると、Cは相続人ではなかったことになります。その結果、相続人はA、Bの2人だけだったことになり、それぞれ450万円ずつの債務を負担することになります。Cが放棄したため、A、Bの負担額が増えたことになります。
 また、A、B、Cの3人が全員相続の放棄をすると、亡くなった方の兄弟姉妹(Aらにとってはおじさん、おばさん)が相続人になります(亡くなった方の親がいれば親が相続人になります)。
 遺産がほとんどなくて、債務だけ負担するような場合には、相続放棄をするのが一般ですが、おじさん、おばさんに迷惑がかからないように全員で放棄をする必要があります(同時に放棄する必要はありません)。自分たちは相続放棄をするので、おじさんたちも相続放棄をした方がいい、くらいは伝えておくべきです。

 なお、相続の放棄をしても、相続人の子(亡くなられた方の孫)が代わりに相続人になることはありません。前の例で言うと、A、B、Cが相続放棄をする場合に、その子(亡くなった方の孫)まで相続放棄をさせる必要はありません。
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3か月後に請求が来たら
 わざわざ3か月が過ぎてから、相続人に請求をする債権者がいたりします。
 同居していた人が亡くなった場合なら、借金があるかどうかある程度分かりますが、何年も前から音信不通だったおじさんが亡くなり、相続人になるような場合もあります(おじさんに子がいなくて、お父さんがすでに亡くなっていた場合です)。このような場合、相続人になったという意識も薄く、財産や借金に興味もありません。

 ところが、おじさんが亡くなって3か月が過ぎてから、債権者から請求が来て、初めて亡くなったおじさんに借金があったことが分かります。

 この場合どうなるかということですが、例外的に3か月が過ぎても相続放棄が認められる場合もありますが、例外的な場合です。借金があることは知らなかったけれど、少しは財産があると知っていたような場合には、例外が認められません(あまりにも財産の価値が少ない場合などは例外が認められる場合があります)。
 どちらにしてもすぐに弁護士に相談するべきです。
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限定承認
 相続放棄のできる3か月の期間は延長してもらうことができます(ただし、3か月の期間内に延長してもらわなければなりません)。
 しかし、期間を延長してもらっても、調べようがない場合があります。
遺産がなければ念のため相続放棄をしてもいいのですが、遺産がある場合はそうは行きません。あるのかないのか分からない借金のために遺産が受け取れなくなるのは悔しいです。
 限定承認というのは、借金の清算をしてプラスがあれば遺産を相続し、プラスがなければそれで終わり(自分の財産から借金の返済をする必要がない)という制度です。

 なかなかいい制度のようですが、相続人全員でする必要があります。その上、手続が面倒です。そして、何よりも問題なのが税金です。遺産に不動産などがある場合、限定承認をすると、その時、全ての不動産を時価で売却したことになって税金(譲渡所得税)がかかります。

 

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弁護士 内藤 寿彦  東京弁護士会所属

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