借地権は強くて価値のある権利ですがそれだけに色々あります
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内藤寿彦法律事務所
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弁護士内藤寿彦
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借地の相続

※相続の基礎知識や相続・遺産分割一般については、「相続・弁護士による法律相談」をご覧ください。

【借地を相続すると】
借地権付きの建物を共同相続した・・・
 ~建物も借地権も共有状態。
【借地権や底地の評価】
遺産分割では財産の評価が問題になります
借地権の評価方法
特別な場合には借地権割合が変わります
底地の評価方法
底地権者と借地権者が特殊な関係にある底地の評価
【遺産分割の方法】
借地の現物分割
借地の代償分割
借地の換価分割
借地の共有分割
【借地と遺言】
遺贈と死因贈与
 ~第三者が遺贈や死因贈与を受けるためには地主の承諾が必要です
【遺産分割の前に起こる借地の問題】
遺産分割前の地代の支払い
 ・誰かが地代を払わないと解除されます
 ・地代は誰が負担する?
建物の名義と第三者への対抗
 ~遺産分割ができなくて建物の登記名義が亡くなった人のままの場合
更新が迫っているのに分割協議ができない
 ・法定更新は単独で可能です
 ・兄が合意更新したいのに弟が承知しない場合
相続と増改築・大修繕

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【借地を相続すると】
●借地権付きの建物を共同相続した・・・
 ~建物も借地権も共有状態。
 親が借地の上の建物を所有していた場合に、親が亡くなり、3名の子が相続したとします(もう1人の親はすでに亡くなり、子どもだけが相続人の場合でお話します)。遺言書がなければ、建物は、3名の子の共有になります。持分は法定相続分に応じて、1/3ずつになります。
 借地権も、建物と同じように共有になり、それぞれ1/3の持分を持つことになります。地主(土地の賃貸人)に対する関係では、3名の子が賃借人になります。
 この共有は、遺産分割で決着が着くまでの一時的な状態ですが、遺産分割をしないで放置すれば、いつまでも共有状態が続くことになります。協議がまとまらなければ、家庭裁判所で解決することになります。
 なお、このような場合に相続人の一人がその建物に住んでいると(ありがちなのは、亡くなった親と同居していて、そのまま住み続ける場合です)、他の2名の子が共同して居住している相続人を追い出そうと思っても、追い出すことはできません(最高裁昭和41年5月19日判決) 。
 また、建物に住んでいる相続人が親に家賃を払わないで住んでいて、親が亡くなった後も住み続けている場合には、他の相続人は家賃の請求ができません(この点は、「相続」のページの「共同相続人に家賃の支払いを請求できるか」をご覧ください)。
 ただし、借地の地代は、建物に住んでいる相続人が支払わなければなりません(この点は、「地代は誰が負担する?」をご覧ください)。
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【借地権や底地権の評価】
●遺産分割では財産の評価が問題になります
 遺産分割では、遺産の評価が問題になります。その中でも不動産の価格(借地権の価格を含めて)は問題になります。
 例えば、共同相続人がAとBの2人で、それぞれ2分の1の法定相続分を持っているとします。つまり、遺産全体に対して、それぞれ半分の権利を持っています。
 この場合に、被相続人が住んでいた自宅(土地建物)だけが遺産だったとします。そして、AとBが話し合いをした結果、Aがこの土地建物を相続して、Bに代償金を支払うことにしたとします。土地建物に対してAも2分の1の権利があるので、AがBに支払う代償金の額は、土地建物の価格の半分です。
 ところが、不動産の値段は、市場価格があることになっていますが、不動産業者に聞いても、まちまちだったりします。実際に売ってみなければ、その不動産がいくらで売れるのか分かりません。また、売れた価格が正しい価格と言えるのかと言うと、実は分からないのです。
 そして、お金を払う立場のAは、土地建物の評価額が低ければ低いほど、Bに支払う代償金の金額が安くて済みます。ところがBとしては、土地建物をAが取るのは仕方がないとしても、代償金はそれなりにもらいたいと思います。つまり、Bの立場としては、不当に安く評価されて代償金を下げられるのは納得できません。
 このような感じで、遺産分割では、遺産の評価額が問題になります。代償金の例でお話しましたが、遺産の中に複数の不動産がある場合にも、不動産の評価の問題が起きます。
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●借地権の評価方法
 借地権の価格は、土地の更地価格(借地権がついてない場合の価格)に、借地権割合を掛けたものになります。
 つまり、更地価格と借地権割合が分かれば、計算で出せることになります。
 では、どうやって更地価格を出すのか。いくつか方法がありますが、簡単な評価方法は、相続税路線価図を使う方法です。
 相続税路線価図では、土地が接する道路ごとに、1㎡あたりの土地の評価額が書いてあります(1000円単位です)。土地の形が特にいびつでなければ、この金額に土地の面積をかけると、土地の価格がでます。
 ただし、相続税路線価は、公示価格の8割になるように設定されています。そこで、この価格を0.8で割り戻す(0.8で割るという意味です。なお、1.25倍しても同じ数字がでます)と、その土地の公示価格が出ることになります。
 借地権の価格は、このように出した更地の価格に、相続税路線数に書いてある借地権割合を掛けたものになります。
 これが借地権の評価額になります。(*1)
 なお、土地の形がいびつな場合や、土地の奥行きがある場合(道路に面している部分に対して、細長い形になっている場合)、角地(2つの道路に接する土地)の場合などは、単純に1㎡あたりの路線価に面積を掛けた価格ではありません。ただし、これらの場合も、計算方法が決まっています。
 とは言え、更地価格をどう評価するのかで揉めることがあります。相続税路線価で計算した土地の価格を1.25倍する(0.8で割り戻す)と公示価格になるという建前ですが、近隣に公示価格が公表されている土地がある場合に、このような計算で出したものと比較すると、計算どおりではない場合があります。また、借地上の建物が賃貸用物件(収益物件)の場合には、さらにややこしい話になります。
 そこで、不動産業者の査定書を双方が出すことがありますが、双方で違う数字になったり、同じ人が複数の業者に査定を頼んでも1000万円単位で数字が違ったということもあります。その中から当事者が話し合い、それで決まればいいのですが、それでもだめなら、調停申立をして、家庭裁判所が選んだ不動産鑑定士の鑑定で決めるしかありません。(*2)

(*1)価格は、普通、「売る時の価格」になります。借地権の場合、地主に承諾料を払って第三者に売ることになります。そして、この場合の承諾料は、借地権割合の1割が相場とされています。このため、「更地価格×借地権割合」からさらにその1割を引いたものが、借地権の価格だと言われることがあります。しかし、承諾料の問題は売る時に発生し、遺産分割の時に発生するのではありません。このため、遺産分割調停などで借地権の価格評価をする時には、承諾料を引くという扱いはしません。

(*2)更地価格だけなら不動産鑑定士ごとに評価が違うということはないと思いますが、収益物件の評価や借地権割合の評価などは不動産鑑定士によって違いが出るように思います。しかし、東京家庭裁判所では、裁判所が選んだ不動産鑑定士の鑑定の結果に文句を言わないという前提で手続が進められます。
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●特別な場合には借地権割合が変わります
 借地権割合(更地価格に対する割合)は、通常は、相続税路線価図に書いてある借地権割合になります。
 しかし、土地の所有者(底地権者)と借地権者が特殊な関係にある場合には、相続税路線価の借地権割合よりも、借地権割合が低くなる場合があります。
 例えば、子が所有する土地の上に、母が建物を建てて子に地代を払っている場合です(こんなことが起こるのは、父が亡くなった時に子が土地を相続して、母が土地上の建物を相続した場合や、母がお金を相続して土地上に家を建てたような場合です)。この状態で、母が亡くなった場合には、遺産になった母の借地の借地権割合が問題になります。
 このような場合は、母が地代を払っていても、母と子という関係から、子から土地を返してほしいと言われると、返してくれる可能性があったと考えられます。つまり、通常の借地権よりも、権利が弱いと考えます。このため、例えば、通常なら借地権割合が更地の7割なのに、更地価格の4~5割程度に評価されることがあります。
 また、地代が極端に低い場合などには(親子の関係では地代を払っていてもごく形式的な場合があります)、実質的には借地権ではなくて使用貸借(無償の土地の貸し借り)だと評価され、更地価格の2割程度にしか評価されない場合もあります。
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●一般的な底地の評価方法
 底地というのは、借地権がついている土地所有権のことです。
 底地の価格は、単純に言えば、更地の評価額から、借地権価格を引いたものです。「更地価格×(1-借地権割合)」でも、同じことです。
 借地権価格が6割なら、更地の4割が底地の価格になります。
 ただし、第三者に底地を売ることを考えた場合、更地価格の4割で売れるものではありません。更地価格の1~2割で売れるかどうかというところです。
ところが、借地権者が底地を買う場合には、更地の4割の価格で売買されることが多いのです(借地権者も底地権者も、互いに売ったり買ったりする義務があるわけではないので、価格は交渉次第になります。しかし、売買価格の目処は、「更地価格-借地権価格」になります)。なぜ、借地権者が買う場合に底地の値段が高くなるのかと言うと、買うことによって完全な所有権になるからです。借地権者の立場からすると、6割だった権利が、10割の権利になります。従って、その差額の4割が底地の価格になります。
 このように誰が買うのかによって底地の価格は違ってきます。
 では、遺産分割の場合はどうなるのか?というと、通常は、更地価格から借地権価格を引いた価格で評価します。
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●底地権者と借地権者が特殊な関係にある底地の評価
・借地権割合が低くなれば、底地の評価が上がります
 底地権者と借地権者が特別な関係にある場合には、借地権が通常よりも低く評価される場合があることは、前にお話したとおりです。借地権が低く評価される場合には、底地権が高く評価されることになります。
 例えば、借地権割合が、通常なら7割なのに5割と評価されれば、底地の価格は更地の5割になります。借地権が実質的には使用貸借だということで、更地価格の2割にしか評価されなければ、底地は、更地価格の8割に評価されることになります。
・特別受益が問題になるケースもあります
 このようなケースの中には、親(被相続人)の土地を、子(共同相続人の一人)が借りて自分の名義で家を建てて住んでいるというケースがあります。このような場合、子が相当額の権利金(借地権価格相当の権利金)を親に払うことはあり得ません。そこで、借地権割合が低く評価されます。
 しかし、使用貸借だとして2割に評価されるとしても、これは、特別受益に当たります。このため、遺産になる土地は2割減額して8割になりますが、家を建ててる子は、2割相当の特別受益を受けたことになり、その持戻をして(土地更地価格の2割分を遺産に戻す)、結果的に遺産の土地は更地の10割評価になるという処理が取られます。
・親族の会社が借地権者の場合
 底地権を相続する場合に、借地権者が親族の会社の場合があります。
 ありがちなのが、被相続人が、生前、自分の土地の上に、自分が経営する会社名義で建物を建てて、会社に土地を使わせていた場合です(多くの場合、税金対策ですが、それだけではありません)。
 このような場合、会社が税務署に「地主から請求があればただで土地を返します」という届出をすることがあります(これを「無償返還の届出」といいます)。税金対策のため、このような届出をするのですが、このような届出があると、実質的には使用貸借だということで、会社の借地権は更地価格の2割程度に評価されます。その結果、底地の評価額は、更地の8割になります。
 ただし、このような評価は、相続人のうち誰が会社を支配しているか(誰が会社の株式の過半数を持っているか)によって、有利不利の問題が起こります。Aが会社を支配している場合にAが底地を相続すれば、実質的には、Aが100%の土地の所有者になります。ところが、Bが底地を相続すると、通常の底地よりも髙く評価されているのに、安い地代が入るだけです(*)。遺産分割では、Bが希望しない限り、Aがこの土地を相続することになります。この場合、Bは他の財産を相続するか、代償金をもらうことになります。

(*)会社が税務署に無償返還届けを出した場合でも、会社は法律上、Bに土地を返す義務はありません。つまり、Bが土地を返してくれと言っても、会社は応じなくてもいいのです。
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【借地の遺産分割の方法】
●借地の現物分割
 遺産の現物分割というのは、文字どおり、遺産の現物を分割することです。 遺産分割は現物分割が基本と言われますが、複数の不動産があって、それらの不動産をそれぞれの相続人に分割できる場合はともかく、借地上建物がほとんど唯一の遺産の場合にはそれはできません。
 例えば、借地の上に自宅が1軒で、被相続人と、その子(相続人。例によって兄とします)の家族が住んでいて、これがほとんど唯一の遺産という場合には、他の相続人(弟)と現物分割をすることはできません。兄が弟に代償金を支払って、借地権とその上の家を自分のものにする、というのが通常です。

 しかし、借地とその上の建物と言っても、色々なやパターンがあります。比較的広い土地が借地になっていて、その上に建物が2棟建っている場合、1棟しか建っていないけれども、もう1棟建てられる余裕がある場合、すでに建っている1棟を取り壊せば2棟の建物が建てられる場合などがあります。このような場合には、借地を2つに分けるという現物分割が可能になります(*1)

 このように借地を分け合う形で遺産分割をする場合には、地主の承諾は不要とされています(東京高裁平成14年9月4日判決)。ただし、東京家裁の実務では調停や審判で借地を分け合う形で遺産分割する場合には、相続人に地主の承諾を取るように求めています。
 このような分割によって、1つだった借地が2つになるので、地代も兄、弟、それぞれが支払うことになります。このため、分割後の地代の金額をそれぞれいくらにするのか決める必要があります(合計額が分割前の地代を下まわってはいけません)。
 また、借地の範囲も決めなければなりません。(*2)
 このため、承諾が不要でも、事前に地主と協議する必要があります。

 なお、兄と弟が隣りに住むのに抵抗がある場合には、借地を現物分割した上で、そのうちの半分を第三者に譲渡することも考えられます。ただし、2つに分けた借地のうち、1つを第三者に譲渡する場合には、譲渡について地主の承諾(承諾がない場合は裁判所の許可)が必要になります(*3)

 また、借地契約には増改築禁止特約があるのが普通なので、注意が必要です。
 敷地が広くて1棟の建物の隣に新しく1棟の建物を建てられる場合に、建物が建っている部分と、建物が建っていない部分に借地を分割したとします(建物が建っていない部分も、建物所有目的の借地になります)。この場合に建物が建っていない部分に建物を建てるためには、地主の承諾(承諾してもらえない場合には裁判所の許可)が必要です。
 また、すでに建っている1棟を取り壊して、2棟の建物を建てる場合にも、地主の承諾もしくは裁判所の許可が必要になります。
 いずれの場合も、承諾料の支払いが必要になります。
 結局、相続した時から2棟の建物が建っている場合でなければ、地主の承諾(新しい建物を建てるための承諾)をもらう必要があり、その時に、借地を分けることの承諾も合わせて、もらうことになります。

 これと別の話で注意しなければならないのは、1つの借地内に自宅とすでに使用しなくなった工場の建物などがある場合です。工場が朽廃寸前の場合、借地を分割して、工場が建っている借地部分を相続した相続人は、工場が朽廃して借地権を失う可能性があります法定更新だった場合です。なお、朽廃寸前の場合、裁判所も増改築の許可をしないことがあります)。借地を分割する前は、2棟の建物のうち1棟が朽廃しても借地権が消滅することはないので、このような解釈には疑問がありますが、注意する必要があります。

(*1) 新しくもう1棟建てる場合や、同時に2棟の建物を建てる場合ですが、1つの敷地の上には1つの建物しか建てられません。ただし、「1つの敷地」というのは、1筆の土地の意味ではありません。1筆の土地でも、2つの敷地(建物の敷地として利用できる土地)があれば、2つの建物を建てることができます。ただし、2つの建物を建てるためには、2つの敷地がどちらも道路に接している必要があります。

(*2)分割しても、どちらの借地にも建物の再築ができて、土地の形がいびつにならなければ問題はありません。しかし、分割した一方の借地が、建築基準法上、建物の再築ができなくなったり、土地が不整形になると、土地の価格が下がります。それは、地主に不利益を負わせることになります。借地の一部譲渡(借地上の複数の建物のうちの1棟の譲渡)の許可を裁判所に求めた事例ですが、地主の不利益が著しいとして、申立が却下された(地主の承諾に代わる許可がもらえなかった)例もあります(東京地裁昭和45年 9月11日決定)。

(*3)地主が承諾しない場合には、承諾に代わる裁判所の許可が必要になります。ただし、裁判所の許可を求める場合には、譲渡する借地の上に建物が建っていなければなりません。つまり、借地上に建物が1棟しか建っていない場合には、建物が建っている部分の借地を、建物ごと第三者に譲渡しないと裁判所の許可を求めることができないのです。
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●借地の代償分割
 遺産が借地上の自宅しかない場合などは、自宅に親と同居していた相続人(兄)が弟に代償金を支払って、借地とその上の建物の単独の所有者になるようにするのが通常です。これを代償分割と言います。

 話を単純するため、他に遺産がない場合を前提とします。居住用の建物は、固定資産評価額で評価するのが普通かと思います(建物が古い場合には、建物自体には価値がないと評価することもあります)。そして、建物の価格と借地権を金銭に評価して、その半分(法定相続分)が代償金の額になります。

 ただし、代償分割は、代償金を支払う兄にお金がなければ不可能です。調停が成立しても兄が代償金を払わなければ、兄が相続で取得した建物とその借地を差し押さえて、競売して代償金を取るしかありません。これでは最初から換価分割した方がましです(審判では、兄に支払い能力があることが確認されない限り、代償分割できないとされています)。

 お金がないなら、銀行から借りればいいと思うのが普通です。借り入れのためには担保が必要です。借地権を相続する兄は、借地権と借地上の建物が自分のものになるので、これに抵当権を設定して借り入れをして代償金の支払いをして、後は借金を分割で返していけばいいように思えます。借地上の建物に抵当権を設定すれば、借地権にも抵当権の効力が及びます。そして、法律上は、建物に抵当権を設定するのに地主の承諾は不要です。兄ももともと半分の権利を持っていたので、借り入れる金額(代償金の金額)は、借地権の半分で済みます。まだ借り入れの余力があります。
 このように考えると、銀行が問題なく貸してくれそうですが、現実にはそうは行きません。通常、銀行は地主の承諾を求めます(借地が担保ではお金を貸してくれない銀行もあります)つまり、地主が承諾しなければ銀行からお金を借りることができません。これについては裁判所の許可の制度はありません。
 話し合いや調停の場合には、兄が長期分割で代償金を弟に支払うという内容で遺産分割を成立させることも可能です。しかし、弟がこれに納得しなかった場合(住宅ローンのように何十年になるような分割では納得を得られません)には、代償分割はできないことになります。
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●換価分割
 兄に代償金を支払うお金がなければ、借地を売ってお金にして、法定相続分で分けるしかありません。このような方法の遺産分割を換価分割と言います。
 任意売却の場合は、地主の承諾が必要になり、承諾料を支払わなければなりません。地主が買い取るという場合もあるかも知れません。その場合には承諾料は不要ですが、地主には買取義務はないので、いくらで売れるのかは地主次第です(多くの場合は、借地権価格相当額で売買が成立しますが、そうしなければならないわけではありません)。

 任意売却もできなければ、競売することになります。
 競売して価格分割するという審判が出た場合でも、裁判所が自動的に競売の手続をしてくれるわけでありません。競売を担当している裁判部に競売の申立をしなければなりません。
 競売になった場合には、競落人(競売で物件を買い取った人)が地主に承諾料を払うことになります。買い取った後で、色々面倒なこともあるので、競売価格は相当低くなります。競売の申立をしても、売れない可能性もあります。
 競売でも売れない場合には、分割未了のまま、兄が家の使用を続けることになります(そうならないように遺産分割の方法を考えなければなりません)。
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●共有分割
 遺産分割の方法として、共有のままにしておくという場合もあります。分割協議書を作成して、共有にしておく、という場合もあります。
 ただし、共有のままというのは、遺産分割未了の場合と同じですから、通常は、問題の先送りに過ぎず、何の解決にもならないとされています。

 しかし、例えば、相続したのが、収益物件(賃貸物件)の場合には、物件と借地権を共有のままにするという遺産分割にも意味があります。これは、物件を共同で管理して賃料収入を分け合うことを目的にしています。従って、これは問題の先送りではなく、1つの解決方法です(ただし、分割禁止の約束をしても、その効力は5年間なので、5年後に問題が蒸し返される可能性があります)。

 また、借地上に、共同相続人がそれぞれ所有する区分所有建物(マンションの小型版です)を建てるために、借地権を共有にしておくということも考えられます。
 この場合、増改築の承諾が必要になりますが、分譲マンションを建てるための増改築は、裁判所は許可しない取り扱いです(地主が承諾すれば可能です)。地主にとって法律関係が煩雑になり過ぎるというのが、その理由です。共同相続人がそれぞれ居住するためだけの区分所有建物の場合(占有部分が2ないし3程度の場合)には、特に地主に負担をかけることもないので、問題はないと考えます。

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【借地と遺言】
●借地の遺贈と死因贈与

1.相続人に相続させる場合には地主の承諾は不要です
 借地とその上の建物を法定相続人の誰それに相続させる、という遺言の場合、地主の承諾は必要ありません。遺言をした人が亡くなれば、当然にその相続人が建物の所有権者になり、借地権者になります。

2.遺贈と死因贈与
 相続人ではない第三者に、借地とその上の建物を譲るという遺言をする人もいます。
 これを遺贈と言います(相続人に対しても遺贈はできますが、通常は「相続させる」という文言を使って、遺言者が亡くなると同時に遺産が移転するようにします)。
 同じようなものに死因贈与というものがあります。これは、「死んだら贈与する」という契約です。契約なので、贈与を受ける人との間で合意しなければなりません。遺言のように一方的なものではありません。死因贈与は口約束でもできますが、書面がないと(契約書に限りません)、相続後に相続人に取り消されてしまいます(ただし、書面で死因贈与の契約をしても、贈与する人が亡くなる前は、その人が一方的に取消できるとされています)。
 なお、死因贈与は、遺言のように形式が決まっていないので(遺言は法律の定めた形式でないと無効になる場合があります)、遺言書が形式的な問題で無効になった場合でも、その書面が死因贈与契約の書面と認められて、財産を譲り受けることができる場合があります(この場合も、贈与を受ける人が無効になった遺言書の存在を知らされていたなど、贈与の契約と認めれるものがなければなりません)。

3.遺贈や死因贈与の場合には原則として地主の承諾が必要です
  第三者に対して遺贈や死因贈与で借地権を譲渡する場合には、地主の承諾が必要になります。
 ただし、遺贈を受けたり、死因贈与を受ける人が、遺言・死因贈与をした人が亡くなる前から、その家に一緒に住んでいたという場合には、地主の承諾がいらないとされることがあります(それでも念のため承諾をもらった方が無難です)。
 しかし、それ以外は、地主の承諾が必要です。地主の承諾がもらえない場合には、裁判所の許可が必要になります(地主の承諾に代わる許可です)。

4.誰がいつ承諾を取るの?
 問題は誰がいつ承諾を取るのか、ということです。
 遺贈や死因贈与について、特別な規定はありません。
 地主が承諾してくれればいいので、生前に地主の承諾をもらっておいてもかまいません(「自分が死んだら○○に借地を譲ることを地主が承諾する」という合意を書面でして、遺贈や死因贈与をすることも考えられます。遺贈の場合はこれとは別に遺言書を作らなければなりませんが、死因贈与の場合には、これが死因贈与の書面になり、また、地主が承諾した証拠になります。ただし、この場合でも、贈与を受ける人との合意がないと死因贈与は成立しません)。
 また、借地権者が亡くなった後で、遺贈や死因贈与を受ける人が地主の承諾をもらっても問題ありません(あくまでも地主が承諾する場合です)。

5.地主が承諾してくれない場合は?
 遺贈や死因贈与を受けた人が地主と交渉できない場合には、相続人全員に対して、地主から承諾をもらったり、裁判所の許可を取るように請求することになります(承諾後に、建物の登記名義を変更するのにも、相続人全員の協力が必要になります)。
 遺贈の場合(遺言書がある場合)には、遺言執行者がいれば、遺言執行者が承諾を取り、または裁判所の許可申請をします。承諾が取れた後の名義変更も遺言執行者がします(死因贈与の場合には、遺言執行者はいないのでこのような手続は取れません)。
 遺言執行者がいない(遺言書で遺言執行者が指定されていない)場合には、家庭裁判所に遺言執行者の選任を請求できます。家庭裁判所では、通常は弁護士の中から遺言執行者を選任をします。
 やっかいなのは、相続人の1人が遺言執行者に指定されているのに、何もしない場合です(遺言執行者になっているのに、何もしない場合には、家庭裁判所に遺言執行者の解任を請求して、新しい遺言執行者を選任してもらうしかありません)。しかも、地代の支払いの問題もあります(地代が支払われないと地主に解除されます。ただし、遺贈を受ける人が第三者として地代を支払うことは可能です)。
 遺言執行者や相続人全員の協力で借地権を譲り受ける場合にも、承諾料の最終的な負担はどうするのか、という問題が起こります。遺言書に書いてあればそれによりますが、書いていない場合は原則として相続人の負担(通常は、相続財産の負担)になります。ただし、遺言書の解釈の問題として、承諾料は借地権を譲り受ける者が最終的に負担すると解釈できる場合もあります。承諾料は金額もそれなりに高額(借地権価格の1割が原則)になるので、トラブル防止のため、承諾料を誰が負担するのか遺言に書いておくのが望ましいです。

 これに対して、死因贈与の場合には、遺贈のようにはいきません。地主が承諾しない場合には、かなりやっかいな問題が起こります。

 借地の遺贈や死因贈与をする場合には、地主の承諾をどうするのか考えた上で、遺贈や死因贈与をするのかどうか検討する必要があります。特に死因贈与の場合には、予め地主の承諾をもらってから契約するのが無難です。

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【借地について遺産分割の前に起こる問題】
●遺産分割前の地代の支払い

・誰かが地代を払わないと解除されます
 親と同居していた兄と、親とは独立して生活していた弟が共同で相続した場合です(つまり、相続人は兄弟2名)を例にします。この兄弟の仲がよくなく、弟から兄に連絡しても喧嘩になってしまい、地代を払っているのかどうか聞けないという場合があります。
 地代が払われない場合、地主は、地代を支払うように催告をした上で、それでも地代の支払いをしない場合には、借地契約を解除することができます(概ね3か月以上の滞納がある場合ですが)。
 ただし、借地権が共同相続されている場合には、共同相続人全員に対して、催告をして解除の通知をしないと解除は認められません。このため、弟が何も知らないまま借地契約が解除されてしまうということにはなりません。
 しかし、これにも例外があります。
 親が亡くなった後で、兄だけが借地上の建物を使用し、地代も支払うというのは、珍しくありません。このような事例について、「他の相続人が賃貸借契約に関する一切の代理権を当該相続人に授与したと認められるような特段の事情がある場合」には、当該相続人に対してのみ、賃料支払いの催告や解除の意思表示をすれば足りるという裁判例があります(大阪地裁平成4年4月22日判決。ただし、相続開始後、6年間遺産分割が未了だった事案です)。
 つまり、弟が何も知らないまま、借地契約が解除されてしまうこともあり得ることになります。
 遺産分割未了の間は、建物は亡くなった親の名義のままになっているのが普通です。このため、地主には、借地の上の建物に住んでいる兄以外に、誰が相続人でどこに連絡すればいいのか分かりません。地主に相続人全員を探せというのは酷な話です。その意味では特に変な裁判例だとは言えません。

 そこで、弟としては、このようなことのないように、地主に手紙を出しておくべきです。手紙には、「自分が相続人の1人で、兄が地代を支払わない場合には自分に連絡してほしい」ということを書きます。
 こうしておけば、上記の裁判例のように「兄に代理権を授与した」とは認められません。

・地代は誰が負担する?
 どちらが支払ったとしても、兄と弟の間でどちらが最終的に負担するのか、という問題が起きます。
 親が亡くなった後の話ですから、遺産分割の問題ではありません(合意があれば、遺産分割調停の中で解決することは可能ですが)。

 兄にしてみれば、遺産分割がまとまるまでは借地権は共有状態なのだから、弟も半分負担するべきだと言うことになります。
 しかし、先にお話したように、兄だけが建物を使用していても、弟に家賃を払う必要はありません。そこで弟にしてみれば、「家賃も払わないで家に住んでいるのだから、地代くらい払え」と言いたくなります。
 そこで裁判例ですが、弟の言い分のように、地代は兄だけが負担するという裁判例があります(東京地裁平成22年2月4日判決)。兄はただで家に住んでいるのですから、地代くらい負担するのは当然と言えば当然です。(*)
 逆に、弟が地代を払ったとすれば、その分を兄に請求できることになります。

 ただし、これはあくまで地代を払ったことを前提として、兄と弟のうち、どちらが負担するべきなのか、という話です。兄が地代を払うのが当然だからと言っても、兄弟2人とも地代を払わなければ地主に借地契約を解除されてしまうことは、前にお話したとおりです。

(*)自宅の一部がアパートになっている場合、アパートの収益(賃料)は遺産分割が終了するまでは兄弟で法定相続分で分けることになります。アパートの賃料が相当な額になるような場合など、地代も法定相続分で分けるのが妥当な場合があります。このように、遺産分割前の管理費用を誰がいくら負担するのかは、具体的な事情を考慮して決めることになります。
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●建物の名義と第三者への対抗
 ~遺産分割ができなくて建物の登記名義が亡くなった人のままの場合

 建物の登記名義人と借地権者が違う場合、地主が第三者に土地を売ってしまうと、新しい地主に借地権を主張できないのが原則です(その結果、建物を取り壊して土地を明け渡せと言われるとそうしなければならなくなります)。

 親が借地権者で建物の名義人だったのに、その親が亡くなって相続すると、建物の登記名義人(親)と借地権者(相続人)が違うことになります(*1)

 結論から言えば、建物の登記名義が、亡くなった親の名義のままでも、新しい地主に借地権を主張することができます。遺産分割協議が終わって、兄が建物と借地を相続することに決まったのに、登記名義をそのままにしておいた場合も同じです。

 なお、遺言書がある場合ですが、相続人の1人(兄と弟のうちどちらか)に相続させるという遺言の場合にも、親の名義のままで、新しい地主に借地権を主張できます。

 これに対して、第三者(相続人でない人)に遺贈する、という場合には、その遺贈を受けた第三者が建物の登記名義を変える前に、新しい地主が土地の登記名義を変更すると、借地権の主張ができなくなります(相続人以外の第三者に遺贈する場合には地主の承諾も必要になります)。

(*1)兄と弟のどちらか1人が申請して、兄弟2名が法定相続分(それぞれ2分の1)で相続したという登記をすることができます。この場合は、借地権者と建物の登記名義人は一致しますが、本文でお話したように、亡くなった親の名義のままでも新しい地主に借地権の主張ができるので、そのためにこのような登記をする必要はありません。この登記をしたからと言って、遺産分割は別の話なので、分割協議の結果、どちらか1人が借地権者になった場合には、登記を移す必要があります。親の名義のままにしておいて、遺産分割後に、相続人の1人の名義にする場合に比べて、登記の手続に手間も費用もかかります。
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●更新が迫っているのに分割協議ができない
・法定更新は単独で可能です
 借地の更新は、法定更新と合意更新があります。更新の合意をした場合が合意更新で、そうでない場合が法定更新です。

 ここでも、兄と弟が相続人のケースで説明しますが、結論から言えば、兄が単独で更新の請求をしたり、契約期間が過ぎた後も家に住んでいれば、法定更新します。しかし、合意更新は兄と弟の2人でしなければなりません。
 遺産分割未了の場合に兄と弟が休戦すれば、合意更新ができます。更新前に遺産分割協議を完了しなければならない、ということはありません。

 法定更新と合意更新とどちらがいいというのは、相続の場合に限る話ではありませんが、結論から言えば、ほとんど違いはありません。

 平成4年以前に設定された古い借地権の場合は、法定更新しても、非堅固建物(木造建物など)の場合20年の期間で更新します。堅固建物(鉄筋コンクリート建物など)は30年の期間で更新します。
 合意更新の場合も、更新後の契約期間は、法定更新と同じ期間にするのが普通ですから、この点では同じです(法定更新よりも短い期間で更新することを合意してもその期間の合意は無効で法定更新と同じ期間になります)。
 法定更新の場合、契約期間内でも、建物が朽廃する(自然に朽ち果てること)と契約が終了します。この点だけが違いますが、通常は増改築禁止の特約が付いているので、建物の増改築許可の裁判をもらい、承諾料を払って増改築をして、建物の朽廃を防ぐことができます(更新料を払ったかどうかで承諾料に違いはない、というのが裁判所の取り扱いです)。このように法定更新と合意更新で、違いがないと言えば、違いはありません。

 かえって、合意更新の場合には更新料を払わなければならないのに、法定更新だったら更新料を払わなくてもいい場合が多いと言えます(契約書に書いてない限り、法定更新の場合には更新料を払う義務はないとされています。多くの借地契約書には、そのような規定がありません。ただし、契約書に書いてあれば、法定更新の場合にも更新料を支払う必要があります)。

・兄が合意更新したいのに弟が承知しない場合
 法定更新と合意更新とで違いはなくても、地主が近所に住んでいる場合などは付き合いとして合意更新を考えます。このように借地の上の建物に住んでいる兄は合意更新したいのに、弟は法定更新でいいと思っている場合があります。

 法定更新だったら更新料の支払い義務がない場合に、特に問題になります。 兄が更新料全額を負担するつもりでも、代償金の額で揉めている場合には、弟の同意が得られず、借地の期限までに遺産分割が完了しない場合も考えられます。

 しかし、法定更新してしまったら、それで確定して、合意更新できない、ということはありません。
 期間経過後に契約期間満了時に遡って、合意更新することは可能です(普通にやっている話です)。遺産分割については、家庭裁判所で手続を進めて、遺産分割が完了した後で、改めて地主と更新について話し合えば足ります。更新の関係で、急いで遺産分割協議を成立させる必要はありません。

 ただし、地主が法定更新に対して異議を述べて、裁判を起こした場合にはやっかいな問題が起こります。地主が、本気で土地を明け渡してもらいたいと思っている場合には、法定更新の主張をすることになります。兄が実際に借地上の家に住んでいる場合には、地主に正当事由が認められることはほとんど考えられません。しかし、地主にもある程度の正当事由がある場合には、裁判所も合意更新の和解(更新料を支払っての和解)を勧めます。この場合には兄弟間で負担の割合を決めて、合意更新して更新料の支払いをすることになります。
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●相続と増改築・大修繕
 親が亡くなって相続が開始したのに長年放置したままというのは、珍しくありません。その間に、もともと古い家がますます古くなり、大修繕などをしなければならなくなることもあります。

 ここでも、相続人が兄と弟の2人の場合を前提としますが、家は兄と弟の共有ですから、弟の同意がなければ、建物の同一性を変えてしまうような大修繕をすることはできません(通常の修繕は弟の承諾なしに可能です)。
 また、借地契約書には増改築禁止特約が付いているのが通常ですから、大修繕には地主の承諾が必要になります。地主が承諾しない場合には、裁判所に地主の承諾に代わる許可の裁判を求めることになります。この場合も兄と弟の二人で申し立てる必要があります。
 つまり、弟の同意がないと家の大修繕はできないことになります。相続でもめている場合には、弟が同意することは考えにくいと思います。遺産分割の調停などの手続を進め、通常の修繕の範囲内の修繕をして時間を稼ぐしかないと思います。(*)
(*)遺産分割の協議中とか調停中の場合は、いずれかの時期に決着がつきます。しかし、親と同居していた長男が、親が亡くなった後、分割協議をしないまま(建物は親名義のまま)長年地代を払い続けてきて、建物が老朽化して建て替えが必要になったという場合は、やっかいな話になります。弟が「なんだ、とっくの昔に兄貴の物になったと思っていたよ」と言って遺産分割協議書に判子を押してくれればいいのですが、寝た子を起こすようなことになると建て替えの必要が迫っているだけに大変です。

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弁護士 内藤 寿彦  東京弁護士会所属

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