立退料に影響する事情は、「立退料の相場・計算方法」でお話したように、一般的には、賃借人がその建物を何に使っているのか、賃借人にとって「その建物でなければならない理由は何か」などが主な事情になります。
ここでは、もっと具体的に、下の【目次】にある事情(主には、立ち退いてほしい側の賃貸人の事情です)で、正当事由が認められるかどうか(立ち退きが認められるかどうか)、また、立退料の金額にどう影響するのか、弁護士が解説します。
なお、以前は、1つのページに全部の記事を書いていましたが、今回、それぞれの記事を独立させて充実させました。下の【目次】のそれぞれの項目をクリックするとそれらの記事が書いてあるページに飛びます。
【目次】
●【耐震強度不足の建物の建て替えと正当事由】
●【賃料差額補償・賃料が相場よりも安いのは有利か不利か】
●【他の入居者が立ち退きに応じている場合】
●【オーナーチェンジ・前の建物所有者から建物を買い取った賃貸人からの立退要求】
●【立ち退いてもらって物件を売りたい】
内容を簡単に説明します。
「耐震強度不足の建物の建て替えと正当事由」は、現在の耐震基準(耐震強度)を充たさない建物を建て替えようとする場合のお話です。建物を建て替える場合、賃借人がいると立ち退いてもらう必要があります。そこで、このような理由で立ち退きを求める場合、正当事由は認められるのか、立退料額はどうなるのか、お話します。
「賃料差額補償・賃料が相場よりも安いのは有利か不利か」は、相場よりも安い賃料で貸している場合、賃借人は明け渡し後に同じ条件の物件を借りると、高い賃料を払わなければならなくなります。この賃料差額を立退料の一部として補償しなければならないのか、賃料差額をどうやって計算するのか、補償期間(差額を支払う期間)はどうなるのかについてお話します。
「他の入居者が立ち退きに応じている場合」というのは、テナントビルなど複数の賃借人がいて、建物の建て替えの必要があって立ち退き交渉して他の賃借人が退去したのに、1人だけがんばっている賃借人がいるケースについてのお話です。判決まで行った場合に、裁判所がどう判断したのかについてもお話します。
「オーナーチェンジ・前の建物所有者から建物を買い取った賃貸人からの立退要求」は、タイトルどおりのお話ですが、賃借人からすると、「前の家主だったら立ち退けとは言わなかったのに」という思いがあります。この場合に、新しい家主は、不利に扱われるのかどうかお話します。
「立ち退いてもらって物件を売りたい」というのは、古くなった建物に賃借人がいる状態では、土地と建物を売る場合、高い値段では売れないという事情があります。しかし、「高く売りたいので立ち退いてほしい」と言った場合に、裁判所からどう扱われるのか、などのお話をします。
弁護士 内藤寿彦(東京弁護士会所属)
内藤寿彦法律事務所 東京都港区虎ノ門5-12-13白井ビル4階 電話・03-3459-6391