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●借地トラブルの弁護士

 借地権は、半永久的に続く場合もあり、取引の対象にもなって、それ自体が独立した権利のように見えます。しかし、あくまでも、地主との間の賃貸借契約に基づいて成り立っている権利です。
 そのため、地主との関係で法律上の問題が起こることがあります。更新、地代、建物の建て替え、解除、更新拒絶などの様々な法律上の問題が起こります。
 ここでは、どちらかと言えば、借地権者(土地の賃借人)から弁護士がご相談を受ける場合についてお話をしていますが、借地権者だけでなく、地主・底地権者(土地の賃貸人)、どちらからのご相談もお受けします。

●借地権は強くて価値のある権利ですがそれだけに色々あります

 ここでは主に平成4年7月31日以前に設定された借地権(古くからの借地権です)について、借地にまつわる法律問題についてお話をします。

 借地と言っても、建物の所有を目的とする借地もあれば、そうでない借地(仕材置き場のための借地や駐車場のための借地など)もありますが、建物所有を目的とする借地権についてお話をします。建物の所有を目的とする借地権は強い権利です。
 国税庁が相続税のために決めた借地権割合が1つの基準になっていますが、地域によって借地権割合(更地価格に対する割合のことです)が6割前後(5割から7割)が多いです。つまり、更地価格の6割前後が借地権価格になります。それだけ価値のある権利です。

  とは言え、借地はあくまでも借地で、所有権ではありません。契約期間があります(契約期間などについては「借地の法律の基礎知識」をご覧ください)。その期間の満了の時に更新や更新料の問題が起こります(更新料については「借地の更新料」をご覧ください)。また、借地は更新が原則ですが、地主が更新を望まず、更新を拒否して、そこに正当事由があると、借地権の消滅の問題が発生します(どのような場合に借地権が消滅するのかしないのか、立退料の金額などについては「借地の更新拒絶(契約終了の正当事由)」をご覧ください。また、これに関連する建物買取請求権は「借地の建物買取請求権」をご覧ください)。

  古くからの借地は長く続きますがそのうち建物が古くなり、修繕や建て替えの必要が出てきます。借地の契約には、増改築禁止特約が付いているのが普通です。そのため、地主の承諾が必要ですが、裁判所が地主の承諾に代わる許可をする制度があります(詳しくは「借地上の建物の建て替えと禁止特約」をご覧ください)。
 また、建て替えではなくて修繕やリフォーム工事なのに地主から契約違反だと指摘を受ける場合もあります。修繕の中には通常の修繕の範囲を越えて一部改築とされ、解除が問題になる場合もあります。これは増改築禁止特約の範囲と工事の内容の問題です。これについては「増改築禁止特約の範囲(修理と改築の関係)」をご覧ください。

 借地権付きの建物(実質的には借地権)を第三者に売りたいということもあるでしょう。その場合、地主の承諾が必要ですが、承諾してもらえない場合には裁判所に許可の申立をすることができます。これについては「借地権の譲渡・転貸と地主の承諾」をご覧ください。
 借地権が共有の場合もあり、共有者間で持分を譲渡する場合もあります。これについては「借地権の共有持分の譲渡」をご覧ください。また、お金を借りるために抵当権をつける場合については「借地への抵当権設定」、競売になった借地権を競落する場合の注意については「借地の競売・競落人は要注意」をご覧ください。

 逆に、土地(底地)の所有者が第三者に変わり、いきなり出て行けと言ってくることもないわけではありません(出て行く必要があるかどうかは別問題です。この問題は、「借地の法律の基礎知識」の関連記事の「借地権対抗のための建物登記」をご覧ください)。

 また、借地ですから、地代を支払います。借地の契約は、数十年単位で続きます。その間に、地主側から地代の増額を求められることがあります。借地権者が納得できない場合にどうしたらいいのか、解決するまでの間、いくら地代を払ったらいいのか、問題になります。また、逆に地代が高すぎると思った場合、借地権者側から地代の減額の請求ができるのか、その場合の要件は、また、減額の請求をした後、いくら地代を払えばいいのか問題になります(これらについては「借地の賃料(地代)増額請求・減額請求」をご覧ください。なお、地代の特約がある場合については、「地代の特約と増減額請求」をご覧ください)。

 その他、深刻なトラブルとしては、地主が借地契約の解除を通告してきた、という場合があります。
 地代を支払わないとか、無断で他人に貸した(借地上の建物を貸すだけならこれに当たりません。建物の登記を移転した場合です)とか、契約違反がはっきりしているものはともかく(それでも違反の程度が軽い場合には解除が認められないことがあります)、契約違反の事実がないのに、解除の通知を受ける場合があります。

 借地を裁判所の許可を取って売りたい場合や借地上の建物を第三者に貸したいと思っている時に、解除の通知を受けてしまうと、係争物件扱いされて第三者は買ったり、借りたりするのを嫌がります。地主側から解除を前提に裁判を起こす場合もありますが、何もしないで放置されるだけで借地を売ったり貸したりすることができなくなります。借地権を手放すのを狙って、理由がないのに地主が解除の通知をする場合もあります(実際にありました)。
 このため、借地権者が地主に対して、解除の無効の確認を求める裁判(正確には、借地権が存在することの確認の裁判です)を起こさなければならない場合もあります。解除の通知を受けた段階で、迷わず、弁護士に相談しなければならないと思った方がいいです。

 また、何らかの理由で建物の登記をしていなかったら、地主が第三者に土地を売ってしまい、第三者から立退を求められるという場合もあります。登記がないと第三者に対抗できないのですが、それでも救済される場合があります。また、借地権者を排除するために、実際には、第三者に土地を売っていない(借地権者が立ち退いたら、実際に土地を高値で売る)のに売ったことにして、土地の登記を移転するというケースもないわけではありません。このようなことが起こる前に建物の登記をしようと思ったら色々な問題があって(相続がらみがありがちです)簡単には登記できないというケースもあります(これらについては、「借地権対抗のための建物登記」と「相続後の建物の名義と借地権の対抗」をご覧ください)。

 地主との間でのトラブルではないのですが、相続した物件が借地権だったり、借地権のついた所有権だったために、相続人間で遺産分割についてもめる場合もあります。その場合、借地権の評価や、地主との関係で遺産分割をどうするのかという問題が起こります。遺言などで借地権を相続させる場合にも借地に特有の問題があります。これらについては「借地の相続」をご覧ください(このページから借地に関する各種相続問題の記事に移動できますが、借地の遺産分割の方法については「借地権の遺産分割の方法」、遺産の評価について「相続と借地権や底地権の評価方法」、遺言などで第三者に譲る場合については「借地権の遺贈・死因贈与」をご覧ください)。

 このように借地に関して色々な法律上のトラブルが起こり、ご相談があります。いずれも当事務所でご相談を受け、対応します。「当事務所の報酬基準」では、ご依頼をされる場合の弁護士費用の基準などについて、ご説明をします。

弁護士 内藤寿彦 (東京弁護士会所属)
内藤寿彦法律事務所 東京都港区虎の門5-12-13白井ビル4階(電話 03-3459-6391)

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